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藝祭2025レポート|東京藝術大学の学園祭で体験するアートと神輿パフォーマンス

2025.9.11

初級
展覧会レポート

プラスアートのコラムについて
プラスアートのコラムでは、アートをもっと身近に感じてもらえるような記事をお届けしています。季節ごとにおすすめの作家を紹介したり、アート初心者の方にもわかりやすく解説したりと、アートの魅力を多角的に発信。日常の中に自然とアートが寄り添うような、そんなヒントを見つけていただけるような内容を目指しています。ぜひ、アートの世界を気軽に楽しんでください。

目次

はじめに:藝祭2025『たまゆら』に行ってきました

藝祭2025「たまゆら」に行ってきました。藝祭とは、音楽学部と美術学部の学生が一体となって創り上げる、東京藝術大学の年に一度の学園祭です。今年も多くの人でにぎわい、学園祭ならではのアート体験が随所で楽しめました。

実際に足を運んできたので、藝祭全体の魅力とともに、とくに絵画棟の展示に焦点をあて、印象に残った作品を紹介します!

1. 藝祭とは?東京藝術大学の伝統的な学園祭

藝祭は、東京藝大の学生が中心となって開催する祭りで、音楽と美術が融合した独自の文化祭です。藝祭の最大の特徴は、美術と音楽が文字通り融合している点です。
演奏会やオペラ、美術展示、ステージ企画が同時進行し、上野公園とキャンパスがまるでアートの祝祭空間のようになります。

中でも「アートマーケット」は大人気!上野公園のテントには、学生制作の絵画、イラスト、雑貨、アクセサリーなどが所狭しと並び、プロ顔負けのクオリティと活気にあふれ、まさにアートフェアのようでした。

2. 神輿パフォーマンス:藝祭最大の見どころ

藝祭の幕開けを飾るイベント「開口一番」では、新入生が4チームに分かれて制作した神輿と法被によるパフォーマンスが披露されます。これはまさに圧巻の一言!
迫力あるパフォーマンスに、観客も一体となって盛り上がる様子はまさに藝祭ならではのアート展示ともいえます。
藝祭の“メインイベント”と呼ぶにふさわしい盛り上がりです。


初日の審査で上野六丁目商店街連合会賞を受賞した神輿が、今年も商店街を勇壮に渡御します。
栄えある受賞チームは、「日本画・工芸・邦楽・学理」チーム。

今年の神輿のテーマは「一麒麟 ―平和と幸せを招く神獣―」。
緻密に作り込まれた造形美は、見る人すべてに平和と調和の心を感じさせ、大きな感動を呼び起こします。

3. 藝祭2025で出会える魅力的なアート作品

校内では、絵画や彫刻、インスタレーションなど多彩な表現のアート作品が並びます。どれも学生の個性が溢れており、東京藝大 アート展示の最前線を体感できる場になっています。

◆ 金子葵

大学院・油画技法材料第1研究室所属の金子葵さんは、豊かな色彩感覚と装飾的な構図で観る者を惹き込みます。赤・緑・青といった強い色の対比や、繰り返される模様のリズムには、アンリ・マティスを思わせる大胆さがあります。しかし、マティスが軽やかな平面性を追求したのに対し、金子さんの作品には厚みのある画肌と象徴的なモチーフが加わり、より物質的で重層的な世界が立ち上がっています。

鮮烈な色彩と重厚な質感が混ざり合い、観る者に異世界的な装飾品を覗き込むような感覚を与えてくれました。

Instagram: @gogo_gyunyuu

◆ 中村光佑

絵画科油画専攻4年の中村光佑さんによる作品は、ノスタルジックな風景の残響と幾何学的構造のアンバランスが際立っています。かすかな照明のような円形と支柱の鉄骨構造が、どこか見覚えのある遊具や観覧車を想起させながらも、空間は非現実的で幻想的。見ていると「過去の記憶」が夢のように揺らぎ、どこまでが現実か曖昧になります。

色調は、紫や藍、青、灰色を基調とした繊細なグラデーションが全体を包み、点描に近い筆致が質感に深みを与えています。背景とモチーフの境界があえてぼやけているため、記憶の中の風景を覗き込むような錯覚に陥るところも、この作品の大きな魅力です。

Instagram: @kosuke_rabi11on

◆ 田中さくら

シルクスクリーンで描かれた鮮やかなモチーフが、アクリル板に印刷されることで何層にも重なり合って表現されている作品です。背景の植物や抽象的な形が複数の透明なアクリル層を通して浮かび上がり、光を通す度に色彩と質感が変化する様子が、とても美しく、まるで作品そのものが呼吸しているかのようです。

また、プリントされたイメージとアクリルの物質感が相まって、現実と幻想のあいだを行き来するような視覚体験を提供します。観る角度や照明によって異なる側面を見せ、時間とともに表情が変わって映ります。

Instagram: @tanakara_hamu

4.プチ雑記:藝祭ならではの模擬店

藝大ならではのユニークな模擬店を発見!

特に印象に残ったのは「石膏像チョコレート付きアイスクリーム」。 ランダムで小さな石膏像型のチョコがトッピングされていて、見た目の遊び心と味のギャップが楽しい一品でした。藝大生ならではの感性を感じさせるグルメで、来場者の笑顔を誘っていました。

まとめ:東京藝術大学『藝祭』が生み出すアートの力

藝祭は単なる学園祭を超え、まるで街全体を巻き込んだ総合芸術祭。音楽と美術が織りなす空間に身を置くだけで、アートがぐっと身近に感じられる貴重な機会でした。来年もどんな表現が飛び出すのか、今から楽しみです。

藝祭2025『たまゆら』公式サイト

最後に

いかがでしたでしょうか?今回の記事でよりアートを身近に感じることができたら幸いです。
プラスアートは、「アートを楽しむ」をコンセプトに、展示企画・運営やオンラインショップでの販売など、現代アートをさらに楽しむサービスを提供しています。
才能あふれる若手作家を中心に、個性豊かな作品を厳選してご紹介!絵画をはじめとする多様なアート作品を取り揃え、初めてアートを購入する方でも安心してご利用いただけます。
また、作品の魅力をより深く知っていただくために、アーティストインタビューやアートの飾り方、購入のポイントなど、役立つ情報をコラムで発信しています。
アートが日常に溶け込み、暮らしを豊かに彩るきっかけになれば幸いです。

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執筆者はこの人!

保護猫のキキ

おだやか

美術大学にて油絵、インスタレーションを学び、プラスアートギャラリーにて勤務、展示運営などに携わる。
アートと猫が好き。

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