プラスアートのコラムについて
プラスアートのコラムでは、アートをもっと身近に感じてもらえるような記事をお届けしています。季節ごとにおすすめの作家を紹介したり、アート初心者の方にもわかりやすく解説したりと、アートの魅力を多角的に発信。日常の中に自然とアートが寄り添うような、そんなヒントを見つけていただけるような内容を目指しています。ぜひ、アートの世界を気軽に楽しんでください。
目次
- はじめに:力と栄光の美術をたどる旅へ
- 1.アッシリア美術:力と叙述の彫刻文化
- 2.美術の拡張と文化の波及
- 3.新バビロニアとイシュタル門の美学
- 4.アカイメネス朝ペルシア美術:融合と荘厳の表現
- 5.精緻な工芸の世界:有翼の山羊
- まとめ:古代美術に見る“力”と“美”の融合
はじめに:力と栄光の美術をたどる旅へ
古代オリエントは、現代のアートや建築にも影響を与えた壮大な美術文化の宝庫です。中でも、アッシリアとアカイメネス朝ペルシアは、それぞれ独自の表現様式を築きながら、力強さと洗練が共存するアートを生み出しました。本記事では、これらの文明が遺した美術の魅力に迫ります。

1.アッシリア美術:力と叙述の彫刻文化
メソポタミア北部を支配したアッシリアは、強大な軍事力を背景にバビロニアを征服し、その文化を吸収しながらも独自の美術を開花させました。紀元前13世紀後半、トゥクルティ・ニヌルタ1世の治世にその様式が確立されます。
アッシリア美術の特筆すべき点は、壮大なスケールと物語性に富んだ浮彫彫刻です。王の軍事遠征や狩猟をテーマにした壁面彫刻は、ドラマティックな構図と繊細なモデリングで力強さと気品を併せ持ち、視覚的な歴史書とも言えるほどです。

代表作である「ナツメヤシと鷲頭の精」では、浅浮彫ながらも豊かな量感とディテールが表現されており、エジプトやアナトリアの浮彫と肩を並べる完成度を誇ります。
2.美術の拡張と文化の波及
アッシリア美術はその帝国の拡張とともに広まり、メソポタミア美術を地中海沿岸にも伝えました。影響の範囲はフエニキア美術やギリシャの東方化様式にまで及び、後の地中海世界の造形文化に少なからぬインパクトを残しました。
3. 新バビロニアとイシュタル門の美学

アッシリア帝国の崩壊後、紀元前6世紀にはネブカドネザル2世によって新バビロニア帝国が興り、首都バビロンは華麗な都市へと生まれ変わります。色彩釉煉瓦で装飾された「イシュタル門」は、その代表的な建築遺産であり、当時の都市の壮麗さと美意識を象徴する存在です。
しかし、その栄華も紀元前539年にアケメネス朝ペルシアによって終焉を迎えます。
4. アカイメネス朝ペルシア美術:融合と荘厳の表現
紀元前6世紀、キュロス大王とダレイオス1世の活躍によって成立したアケメネス朝ペルシアは、西アジア全域を支配下に置きました。彼らは征服した各地の美術様式を巧みに融合させ、独自の荘厳な美術を築きました。

その代表例が、都ペルセポリスに築かれたアパダーナ宮殿の浮彫群です。ここにはバビロニア、アッシリア、メディアの様式が見事に統合されており、アケメネス朝美術のアカデミックな側面が表れています。
5.精緻な工芸の世界:有翼の山羊
アケメネス朝のもう一つの美術的特長は、高度に発達した工芸技術にあります。金銀象嵌を施した「有翼の山羊」はその最たる例で、繊細な彫刻と幻想的な意匠が融合した逸品です。加えて、ガラス器、円筒印章、金属製品などの工芸品も高い技術水準を誇り、日常生活の中にまで芸術的な美意識が浸透していたことがうかがえます。

まとめ:古代美術に見る“力”と“美”の融合
アッシリアとアケメネス朝ペルシアの美術は、それぞれ異なるアプローチで「力」と「美」を表現してきました。アッシリアは軍事的栄光を讃える写実的な浮彫で、ペルシアは文化を統合した洗練された工芸と建築で、それを具現化しています。どちらも、政治と宗教、権威と感性が一体となった総合芸術として、後世に多大な影響を与えてきました。
その表現力と造形美は、今なお私たちを魅了してやまないのです。
最後に
いかがでしたでしょうか?今回の記事でよりアートをより深く知っていただけたら幸いです。
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執筆者はこの人!

おだやか
美術大学にて油絵、インスタレーションを学び、プラスアートギャラリーにて勤務、展示運営などに携わる。
アートと猫が好き。